自己破産とはどんな手続き?自己破産をしようと思ったら、一番初めに読んでください

自己破産という手続きについて、みなさんはどこまで理解しているでしょうか?

どうしてもネガティブな印象を抱く方が多いのですが、実際は、一度崩れてしまった人生や経済状況を立て直してくれる、そして更生の機会をくれる、そんなポジティブな手続きです。
具体的に言えば、借金の返済義務がなくなるというもので、ここに金額の大小は関係ありません。どれだけ負債が降り積もっていても、すべての返済義務をなくすことができます。となれば、「それだけ大きなデメリットがあるのでは?」、そう感じるのも無理はありません。しかし、自己破産のデメリットは、これまでの生活状況によっては、ほとんどないという方もいるほど、それほど大きなものではありません。

そこで今回は、自己破産のネガティブなイメージを払拭すべく、自己破産がどういった手続きで、どのようなメリット・デメリットがある手続きなのかについて、詳しく解説していこうと思います。

自己破産は人生をやり直すための手続き

自己破産は、言い換えれば人生をやり直すための手続きです。

どれだけ真面目に生きていたとしても、事故や災害が原因で借金が膨らんでしまい、返済ができなくなってしまう方もいます。過剰なギャンブルや浪費に手を付けてしまったため、返済ができなくなってしまう方がいても、誘惑の多い世の中ですから、決しておかしなことではありませんね。

しかし、そういった方に手を差し伸べる手続きがなければ、世の中は今以上に自殺者が増えてしまってもおかしくはありません。自己破産は膨らんでしまった借金を一度リセットし、新たな生活を歩むチャンスを与えてくれる手続きです。

自己破産は人生の終わりではない

よく自己破産がきっかけで人生が終わる、といった考え方がインターネット上などでも蔓延していますが、これは間違った考え方です。「破産」というネガティブなワードが引き起こした、いわば誤解と言えるでしょう。
確かに、デメリットとして失ってしまうものがあるのは事実です。しかし、債務者の借金がどんどん膨れ上がってしまい、経済的な立ち直りが難しい状況にある場合、裁判所が認める自己破産という救済措置がなければ、必要最低限の生活すらままならなくなってしまう方が出てしまいます。

自己破産は決して人生の終わりという意味ではありません。自力での生活再建を補助する救済措置です。

自己破産すれば借金を免除してもらうことが可能

自己破産の本来の目的とは、債権者に対する公平な分配です。破産者は、債権者に対して可能な限り公平な分配をすることで、誠実な破産者となります。そして、誠実な破産者に対する特典というのが、特定のものを除いた破産者の責任を免除する、つまりは借金の返済義務がなくなる、というものです。

自らの財産状況を債権者に対して公然にすることで、返済不能であることへの理解を求め、それだけ誠実だった破産者に対しては、裁判所が借金の返済義務を免除しよう、というわけですね。

自己破産した場合のメリット

自己破産した場合のメリットは、主に以下の4つとなります。

1.借金の返済義務がなくなる
2.借金の取り立てが止まる
3.手続き中も生活や仕事はそのまま続けられる
4.手続きが終われば穏やかな生活が送れる

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。

借金の返済義務がなくなる

自己破産における最大のメリットは、借金の返済義務がなくなるというものです。

債務整理手続きには、自己破産以外にも任意整理や個人再生、特定調停といった手続きがありますが、いずれも返済自体は継続しなければなりません。しかし、自己破産は裁判所から認められさえすれば、その時点で降り積もった借金の返済義務がすべて免除されます。返済に充てなければならなかったお金を、翌日からすべて貯金に回すことも可能となるため、他の債務整理手続きにはない多大なメリットとなっています。

借金の取り立てが止まる

自己破産を利用することで、借金の取り立てが止まることになります。
厳密には、司法書士や弁護士といった専門家に自己破産を依頼し、貸金業者に通知が届いた段階で止まるため、自己破産そのもののメリットというわけではありません。しかし、取り立てが止まると精神面の安定を取り戻すことができますね。

その後も専門家が手続きの窓口となってくれるため、ご自身のもとに取り立てがくる心配はありません。

手続き中も生活や仕事はそのまま続けられる

自己破産というのは、裁判所を利用する手続きです。通常、裁判というのは、1か月に1度程度開かれ、昼間の時間帯に必ず裁判所へ足を運ぶことになるのですが、自己破産にそういった心配はありません。
自己破産は、原則的には2度ほど裁判所へ足を運ぶだけで良いとされていますし、内容次第では、1度も足を運ばなくても良いこともあります。手続き中であっても、生活や仕事はそのまま続けることができます。
ただし、自己破産手続き中に限り、一部の資格や職業が制限される点には注意です。たとえば、警備員や保険募集員といった方は、自己破産中は職に就くことが認められていません。

手続きが終われば穏やかな生活が送れる

自己破産は、すべての手続きが終了すれば、穏やかな生活を送れるようになります。そして終了までの期間は、早ければ半年程度です。一般的に申し立ての準備期間として3~6か月、申立てから手続き終了まで2~4か月程度となっていますので、この期間さえ乗り切ってしまえば、もう借金に悩まされることはありません。

自己破産にまつわるウワサの真偽


それでは次に、「自己破産にまつわるウワサの真偽」としまして、インターネット上や、巷でよくささやかれている自己破産のウワサは本当なのか、についてまとめてみましたのでご参考ください。

「自己破産したことが周りの人にバレる」は嘘

自己破産したことが周りの人にバレる心配というのは、基本的にはないと思っていて問題ありません。

自己破産をすると、官報という国が刊行する新聞のような紙面に、自己破産の事実と名前と住所が掲載されることになるのですが、一般の方が官報を目にするようなことはまずありません。官報とは、他にも相続等に関連の手続きや、国としての作用に関わる事柄を公告するために利用されています。
しかし、官報なんて聞いたことないという方がほとんどではないでしょうか?官報自体、それほどの知名度はありませんので、そこまで心配する必要はありません。

「今後一生クレジットカードが使えなくなる」は嘘

自己破産したからといって、一生クレジットカードが使えなくなる心配はありません。

確かに、自己破産をすると個人信用情報機関に事故情報が掲載されることになり、これが理由で数年間(5~10年程度が一般的)はクレジットカードを持てなくなるのですが、一定期間さえ経過してしまえば、事故情報はすべて抹消されることになっています。また、事故情報掲載期間中であっても、デビットカードなどは持つことができますので、生活上のカード周りの心配をする必要はありません。

「今後一生借入ができなくなる」は嘘

自己破産をしても、今後一生借入ができなくなる心配はありません。こちらも上記と同様の理由で、個人信用情報機関の事故情報を理由に、新たな借入が困難になってしまうのですが、5~10年程度で抹消されることになります。また、仮に事故情報が抹消される前であっても、その時点の属性次第(収入や社会的地位)では、借入をすることは十分に可能となっています。自己破産後の自分次第でいくらでも払拭できる問題です。

「携帯が使えなくなる」は嘘

自己破産をしても携帯が使えなくなる心配はありません。携帯電話の機種代金を分割で支払うこと(割賦契約といいます)については、上記と同様に事故情報が理由でできなくなってしまいます。しかし、一括で支払うことさえできれば好きな機種を持つことができますし、携帯電話を利用する契約自体は事故情報の有無に関係なく可能となっていますので、携帯が使えなくなる心配は一切ありません。

「自己破産すると裸一貫にされる」は嘘

自己破産をしても、裸一貫で生活をやり直さなければならないわけではありません。時価で20万円未満の資産であれば、そのまま保有することが可能ですし、現金も99万円までなら手元に残すことが認められています。
もちろん、生活に必要な家具や家電についても、差し押さえ等されてしまう心配はありません。

「家族も巻き込まれる」は嘘

自己破産をしても、家族が巻き込まれる心配は基本的にはありません。家族が借入の保証人になっている場合は、家族だからというよりは、保証人としての負担を免れないケースはあります。また、自己破産は手続き中に家計状況を裁判所に報告しなければならないのですが、その際、同一家計の者がいれば給与明細書などの写しを裁判所への提出が求められることがあり、家族の協力が必要な場面はあります。しかし、家族名義の資産まで清算の対象になることはありませんので、心配する必要はありません。

自己破産をした方が良い4つのケース

では最後に、どういった場合に自己破産をしたほうが良いのか、4つのケースをご紹介します。

借金を完済できる見込みがない人

借金を完済できる見込みがない人は自己破産をすべきです。しかし、借金を完済できるかどうかの判断は人によっても異なりますよね。また、年収がどの程度のときにいくらの借金があると自己破産すべき、といった明確な基準が定められているわけではありません。明確な基準がない以上、素人目に判断できることではないので、完済できる見込みがあるかないかについては、最終的に専門家に判断してもらってください。

安定した収入がない人

安定した収入がない場合、返済不可能に陥る可能性がぐっと高くなってしまいます。もし、現在、完済までに3~5年以上かかる借金を抱えていながら、毎月の収入が安定していないという方は、自己破産を視野に入れるべきです。無理な返済を続けて身体を壊してしまっては、さらに状況は悪化してしまいます。

借入先が複数ある人

借入先が複数ある方の場合、すでに借入限度額へと達している借入先がある方も多いのではないでしょうか?となれば、当然、借金総額も相応なものになっている可能性が高く、自己破産を視野に入れるべきです。ただし、借入先が複数ある方は、これまでのケースと違って安定した収入がある方もいらっしゃいますね。他の債務整理手続きで解決できる可能性も十分あるため、まずは司法書士といった専門家に相談することからはじめてみましょう。

持ち家などの高額な資産を持っていない人

自己破産をすると、時価で20万円以上の資産価値がある動産や不動産については、原則的には手続きの中で換価され、債権者に案分配当されることになっています。自己破産においては、積み上げてきた資産を維持できないことが、手続き最大のデメリットです。高額な資産を持っている方は、簡単に自己破産の決断ができるものではありません。しかし、高額な資産を持っていないのであれば、自己破産で失うものは決して大きなものではありません。こうした点からも、自己破産は若ければ若いほど、利用しやすい手続きと言えます。

まとめ

自己破産について、ネガティブな印象をお持ちの方が多かったのではないでしょうか?

しかし、自己破産というのは、自力での生活再建が困難な方のためにある救済制度といっても過言ではない手続きです。決してネガティブな手続きではなく、これまでの失敗をリセットし、新たな一歩を歩み出すという、もっとポジティブな側面の強い手続きになります。

もちろん、借金の返済義務を免除するのだから、相応のデメリットは負うことになります。これまで積み上げてきた高額な財産を失ってしまうこと、数年間は新たな借入ができない、一部の資格や職業の制限を受けるなどが挙げられます。しかし、こうしたデメリットはすべて一時的なことに過ぎません。1つとして生涯抱えることになるデメリットは存在していないのです。それもこれも、そもそも自己破産という手続きが救済制度であるがゆえです。いつまでも終わらない返済を頑張り続けるより、一度自己破産をしたほうが良い方は、世の中にもたくさんいらっしゃいます。その判断と手続きのサポートができるのが司法書士や弁護士といった専門家です。

自己破産についてもっと知りたい、自己破産を検討してみたい、そんな風に感じたのであれば、まずは専門家への無料相談をおすすめします!

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