自己破産の手続きは自分でできる?自己破産手続きに必要な資料とは

自己破産は裁判所で行われる手続きであるため、煩雑で難しいといったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?確かに、自己破産は専門用語も多く、裁判所の裁判官や書記官とのやり取り、提出しなければならない書類の取得・作成など、一般の方にとってハードルの高い手続きです。

しかし、専門家に依頼することで、自己破産のハードルは一気に下がり、基本的には専門家の指示に従うだけで手続きを終えることが可能です。

というわけで今回は、自己破産を専門家に依頼することを前提とし、ご自身にどの程度の労力がかかるのか、どの程度の難易度になるのかについて詳しくご説明していきます。

専門家に依頼すれば自己破産の手続きは難しくない


自己破産は、専門家に依頼することで手続きのハードルを一気に下げることができます。
専門家に依頼しなかった場合、後述する必要書類の作成はすべて自身で行わなければなりませんし、冒頭でも触れたように裁判官や書記官とのやり取りもしなければなりません。

専門知識がない方が自己破産をしようと思ったら、勉強時間も確保しなければならず、非常に効率の悪い手続きです。しかし、専門家に依頼することで、必要書類の作成をすべて代理で行ってもらえますし、裁判所とのやり取りについても的確なアドバイスをしてもらえます。もちろん、自己破産を申し立てるにあたって、勉強などに時間を割く必要はありませんし、基本的には専門家の指示に従っていれば、手続きは自動的に進んでいくと考えてもらって問題ありません。専門家に依頼さえすれば、自己破産手続きは難しくなくなります。

自己破産の手続きであなたがやることはたった3つ!

では、自己破産する場合、自身でどういったことをやらなければならないのでしょうか?
具体的には、主に以下の3つをすることで自己破産手続きを終えることができます。

①専門家に依頼する
②書類を準備する
③裁判所に1~2回ほど行く

①専門家に依頼する

自己破産は専門家に依頼するようにしてください。
個人で行うとなると、非常にハードルが高くなってしまうため注意が必要です。
依頼する専門家については、無料法律相談を利用するのが良いでしょう。無料法律相談は、現在数多くの司法書士・弁護士事務所にて実施されています。一般相談の場合は有料であっても、債務整理相談の場合は無料という事務所も多いことから、お近くの専門家事務所を探してみてください。もし、探すのが難しい場合や、気になる事務所がなかった場合は、司法書士会や弁護士会が実施している法律相談を利用してみるのも良いでしょう。その他にも、自治体で多重債務相談が実施されている地域も数多くあります。

②書類を準備する

自己破産に必要な書類について、詳しくは後述しますが、基本的には専門家の指示に従って準備することになります。自身でどういった書類が必要か調べる必要などありませんし、作成しなければならない書類もほんの一部となっていて、後は専門家側で作成してくれるため一切心配する必要はありません。書類の取得方法についても後述しますが、わからないものがあれば専門家に相談すれば、取得をサポートしてもらえます。

③裁判所に1~2回ほど行く

自己破産の申し立て後、裁判所に自ら足を運ばなければならないのは1~2回程度となっています。借入の経緯や、資産状況などによって多少の増減はありますが、毎週のように裁判所に足を運ばなければならないわけではありません。また、裁判所へ足を運ぶ日であっても、時間の拘束は1~2時間程度となっていて、長時間拘束されることもありません。

また、専門家も一緒に足を運んでくれるため、不安なことがあればその都度確認することができます。頼れる存在がすぐ隣にいてくれるのは、大きな安心感になってくれます。

自己破産の手続きに必要な書類はこの9つ!

自己破産手続きに必要な書類は、主に以下の9つとなっています。

1.自己破産申立書
2.陳述書
3.債権者一覧表
4.住民票・戸籍謄本
5.預金通帳のコピー
6.収入がわかる資料
7.支出がわかる資料
8.生活状況がわかる資料
9.保有財産がわかる資料

では、以下にて各書類の作成や取得方法について詳しくご説明していきます。

自己破産申立書

自己破産申立書は、専門家が取得・作成してくれる書類です。

基本的には、管轄となる裁判所の書式を使用するため、インターネット上でダウンロードするか、裁判所窓口でひな形を入手します。とはいえ、専門家であればすでに周辺地域の破産申立書のひな形は手元にありますので、あなたが何かする必要はありません。

陳述書

陳述書は、破産を申し立てる方の情報を記載した書類です。
具体的には、過去の職歴や現在の職業、結婚・離婚歴や家族の状況などです。また、破産に至る経緯など、非常に詳しく状況を記載します。とはいえ、陳述書も専門家側で作成してもらえる書類であるため、基本的には専門家からの質問に答えるだけで大丈夫です。

なお、陳述書に嘘の記載などがあると、裁判官の心証を著しく悪くしてしまうため、専門家には虚偽の発言をしないようにしましょう。もし、自己破産をする上で不利な情報があれば、専門家側で補足説明をしてくれるため、心配せず正直に話すようにしてください。

債権者一覧表

裁判所に債権者を伝えるために、債権者一覧表を作成しなければなりません。

債権者一覧表に記載された債権者に対して、裁判所側から自己破産に関する連絡が届くことになっています。債権者一覧表は、専門家側で作成してもらえる書類であるため、あなたが何かする必要はありません。ただ、借入先については嘘偽りなく専門家に伝えるようにしてください。意図して債権者を隠した場合、「免責不許可事由」といって免責決定の弊害になるため注意が必要です。

なお、債権者一覧表への記載漏れがあった場合も免責の効力は及ぶものとされていますが、後日トラブルになる恐れもあるため、間違った記載がないようご自身の借入先についてはしっかり確認し、専門家に正確に伝えるようにしてください。
どうしても思い出せない場合は、自身の個人信用情報を取得し、直近の借入履歴を調査するのも良い方法です。ただし、主な個人信用情報機関は3つあることと、いずれも費用がかかってしまうため注意が必要です。

住民票・戸籍謄本

裁判所に現在の住所地を確認してもらうことと、自己破産は住所地によって管轄となる裁判所が異なるため、住民票を提出する必要があります。また、婚姻関係があるなど、家計が同一の家族がいる場合は、戸籍謄本の提出を求められることがあります。
いずれも市区町村役場にて取得可能な書類であるため、ご自身で取得を求められることが多い書類です。とはいえ、弁護士や司法書士であれば代わりに取得することも可能な書類なので、どうしても取得が難しい事情がある場合は、事前に伝えておくと良いでしょう。

預金通帳のコピー

自己破産申立てまでの生活状況を確認する意味でも、裁判所には預金通帳のコピーを1~2年分ほど提出しなければなりません。提出する預金通帳については、1~2年以内に利用したことがある預金口座すべてとなります。もちろん、ここでも意図して隠したりする行為は免責不許可事由に該当してしまうため注意しましょう。なお、1~2年分と範囲が明確でない理由は、自己破産は申し立てをする裁判所によって運用が異なるためです。1年分で良い裁判所もあれば、2年分、状況次第ではそれ以上の提出を求められることもあります。

収入がわかる資料

現在の収入がわかる資料として、「給与明細書」や「源泉徴収票」、「課税証明書」といった書面を提出しなければなりません。給与明細書や源泉徴収票は職場から、課税証明書は市区町村役場で取得することが可能です。いずれの書類も、専門家経由では取得が難しいため、ご自身で準備しなければならない書類となっています。

支出がわかる資料

現在の支出がわかる資料として、税金はもちろん、家賃や公共料金の支払明細書といった書面の提出が求められます。銀行引き落としになっている方は、預金通帳の写しで事足りますが、そうでない方は、支払明細書や領収書といった書類はすべて手元にとっておきましょう。

生活状況がわかる資料

現在の生活状況がわかる資料として、2か月分の家計簿を作成し、提出しなければなりません。裁判所側にひな形がありますので、基本的にはひな形に沿って作成していけば問題ありません。

また、生活状況について正確に把握しているのはご本人だけであるため、専門家には作成できない書類となり、自ら作成しなければならない点に注意です。とはいえ、矛盾があったり、不備があったりした場合は、専門家から指摘してもらえるため、あまり気を張ることなく作成するのが良いでしょう。

保有財産がわかる資料など

保有財産がある場合は、わかる資料についてすべて用意し、「資産目録」としてまとめなければなりません。
自宅を保有しているのであれば「登記簿謄本」・「不動産鑑定書」、積み立て型の生命保険があれば「解約返戻金証明書」、自動車を保有していれば「車検証」・「買い取り額証明書」など、現在保有している資産について正確に報告する必要があります。

また、現在保有している資産だけでなく、直近2年以内に売却した資産がある場合も、売却額がわかる資料を提出しなければなりません。

その他、現在住んでいる住居の契約書や、家族名義の不動産に住んでいるのであれば居住証明書といった書類を取得・作成する必要があります。なお、専門家に取得を指示されなかったとしても、裁判所側から取得を指示されることもあります。

自己破産の手続きは手元にお金がなくても依頼できる


自己破産の手続きは、手元にお金がなくても依頼することができます。
というのも、自己破産を利用するとなれば、専門家への費用は負担しなければなりません。
しかし、自己破産を検討するくらいですから、すぐに現金を用意できないという方がほとんどはないでしょうか?そういった場合であっても、自己破産は、以下の2つの方法を用いることで専門家に手続きを依頼することが可能となっています。

自己破産の費用は分割支払いが一般的

専門家に支払う自己破産の費用は、分割払いが一般的となっています。十分な保有資産がある場合は、破産手続きの中で配当されてしまう前に、専門家の費用として捻出してしまうこともありますが、すべての方が資産に余裕があるわけではありません。

しかし、専門家に手続きを依頼すれば、債権者への返済はすべてストップします。今まで返済に回していた資金をプールしたり、分割払いに充てることができるため、手元に現金がなかったとしても、まずは専門家に依頼し、返済をストップさせるのが良いでしょう。

法テラス利用も視野に入れよう

そもそも収入自体が少ない方や、返済がストップしたとしても費用の支払いが難しいという方は、法テラスの利用も視野に入れるのが良いでしょう。
法テラスとは、国が設立した法律問題の総合支援機関です。実施している支援の一部に、自己破産といった債務整理問題解決のための費用を立て替えるというものがあります。法テラスを利用することで、毎月の支払額を5,000円程度に抑えることができるため、費用の捻出が難しい方は、ぜひ法テラスの利用を視野に入れてみてください。
なお、法テラスに登録している専門家であれば、いちいち法テラス経由で相談予約などをしなくても立替制度の利用が可能です。そこで、もし法テラス利用を視野に入れている方は、専門家への相談時に法テラス利用が可能かどうか、確認しておくのが良いでしょう。

まとめ

自己破産は個人で行うにはハードルの高い手続きです。

しかし、専門家に依頼することで、手続きのハードルは一気に下がります。必要書類の取得についてはそれほど難しいものはありませんし、裁判所へ足を運ぶ点についても、専門家が一緒に足を運んでくれるため心配する必要はありません。日常生活に影響が出るほどの労力ではないので、どうかご安心ください。また、手続きそのもの難易度としても、数ある法律手続きの中で比較すれば、自己破産はそれほど高いものではありません。専門家にとっても決して難易度の高い手続きではないため、安心して手続きに臨んでくださいね。

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