消費者金融への返済が苦しいという方、すでに借入上限に達していて困っているという方、そのまま放っておくと、取り返しのつかない事態に巻き込まれる恐れがあります。
もちろん過度に脅かすつもりなどはありませんが、貸金業者側も返済が滞れば相応の手段を用いて回収しようと試みてきます。最終的には、「強制執行」といって法の力を使い強制的に預金口座や給与を差し押さえてくることだってあるのです。
ある日突然、口座残高が0円になっていたり、勤務先に裁判所からの差し押さえの通知がきたりと、そんな事態に巻き込まれたくはないですよね。
そこで今回は、消費者金融をはじめ、借金の返済ができなくなるとどうなってしまうのか、そしてどのように対応すべきかについて、詳しくご説明していこうと思います。
消費者金融への返済が苦しくなったら専門家に相談
消費者金融への返済が苦しいという方は、どうか専門家への相談を視野に入れてください。
なるべくご自身の力で借金をどうにかしたいと考える方は、世の中にたくさんいらっしゃいますし、それはとても立派なことです。しかし、その結果、お金は借りられるところから限度額まで借り尽くしてしまい、銀行などが提供している「おまとめローン」を利用したりなど、ますます借金が泥沼化してしまう傾向が強いです。業者からの借入で済んでいるうちはまだしも、親族や友人といった個人間の借入にまで手を出してしまっては、その後の人間関係にまで溝を作りかねません。一度でも借金問題が泥沼化してしまった方は、いかなる方法で借入を増やしても、それは単なるその場しのぎでしかなく、根本的な解決になることはありません。
借金問題の泥沼化を解消するためには専門家に相談し、債務整理をすることで根本的な解決を図ることが最も近道といっても過言ではないのです。
放置するほど危険!消費者金融からの借金を払えないでいると起こること
では、消費者金融からの借金を払えないでいると、どういったことが起こるのでしょうか?
消費者金融によって取ってくる手段は異なりますし、借金回収の手段に明確なルールがあるわけでもありませんが、一般的には以下の順序で借金が降り積もっていき、そして回収業務が進められることになっていますので、ぜひご参考ください。そして、ご自身が現在どの状況にあるのかについて、ご確認いただけると幸いです。
第1段階:滞納すればするだけ遅延損害金が発生する
第2段階:ハガキ・メールや電話で催促の連絡が来る
第3段階:債権回収専門の部署に管轄が移動し、督促状(催告書)などが来る
第4段階:内容証明郵便などで一括請求、訴訟予告通知などが来る
第5段階:裁判所から訴状・支払い督促といった書面が来る
第6段階:判決(判決に準ずる書面)を根拠に強制執行をされる
第1段階:滞納すればするだけ遅延損害金が発生する
借金というのは、滞納すればするだけ遅延損害金が発生します。この遅延損害金は、いわば雪だるま式に増えていく仕組みであるため、滞納期間が長ければ長いほど、どんどん借金が積みあがっていく仕組みです。放置している期間が長いと、借入元金よりも遅延損害金のほうが高額になることもめずらしくないので、借金を放置していて良いことは1つもありません。滞納しそうだと感じたら、早々に専門家に相談するのも手です。
第2段階:ハガキ・メールや電話で催促の連絡がくる
借金の返済が滞ると、消費者金融はハガキ・メールや電話で催促の連絡をしてきます。
ここで本人と連絡が取れているうちは良いですが、連絡が取れないとなると、過剰なほど連絡してくることもあるので注意が必要です。場合によっては、実家や職場に連絡が行くこともあります。
とはいえ、さすがに業者名を名乗ったりすることはありませんし、借金の滞納についてなど、連絡内容を他者に告げることはありません。しかし、十分不審な連絡であることは間違いないため、職場の人間や他の家族に借金の存在を疑われる危険があります。
第3段階:債権回収専門の部署に管轄が移動し、催促状(催告書)などが来る
一定期間経過しても本人との連絡が取れない場合、多くの消費者金融は債権回収を専門とする部署に管轄が移動します。ここから請求に携わってくるのは、いわば借金を回収するプロ集団となるため、催促状(催告書)の内容についても、いっそう裁判手続きを匂わせる内容が送られてくることになります。
また、多くの場合は、債権回収専門の部署に管轄が移動した時点で、個人信用情報機関に支払い遅延という事故情報が掲載されます。この事故情報はいわば「ブラック」と俗称される状態で、掲載された瞬間から他の消費者金融などからの新たな借入が困難になります。
第4段階:内容証明郵便などで一括請求、訴訟予告通知などが来る
債権回収の部署によっては、内容証明郵便などで一括請求をしてくることがあります。その他、裁判提起前の最後通告として、訴訟予告通知を送付してくる場合もあります。
いずれも何かしら決まり事があるわけではないので、この第4段階を飛び越えて、いきなり第5段階へと行く可能性は十分にあります。業者側としても、内容証明郵便などで無駄に費用をかけるより、裁判で判決を取ってしまった方が早いと考えることが多いです。
また、裁判提起前にわざわざ訴訟予告通知を送らなければならないルールもありませんので、ある日いきなり裁判所から通知が届くといったケースも視野に入れておきましょう。
第5段階:特別送達にて裁判から訴状・支払い督促といった書面が来る
いつまでも本人との連絡が取れない状況、返済が見込めない状況が継続していると、業者側は裁判や支払い督促といった裁判上の手続きを講じてきます。そして、裁判所からの書面は「特別送達」という方法で送られてくることになっています。特別送達というのは、簡単に言えば裁判所から送られてくる重要書面のことで、受け取ったことで法的な効力が発生する(送られてきた内容を確かに目にした)という仕組みです。
そして、この特別送達については、基本的には受け取りを拒否することはできません。仮に受け取らなかったとしても、不在票がポスト投函され、再送達されます。それでも受け取られない場合は、付郵便送達(発送された時点で受け取ったとみなされる送達)や、公示送達(一定期間裁判所内に掲示することで受け取ったとみなされる送達)といった方法にて、最終的には受け取ったことにされてしまいます。
また、特別送達については住所地だけでなく、その気になれば職場・実家に対して送ることも可能となっているため、業者側に職場を把握されている方は注意が必要です。
第6段階:債務名義(確定判決等)を根拠に強制執行をされる
特別送達を受け取ったにも関わらず、そのまま放置していると、裁判は自動的に進み、最終的に判決が下され、一定期間の経過を持って確定します。もちろん、放置していたため主張なしと判断され、全面的な敗訴となる判決が出されることになっています。そして、この確定判決は「債務名義」といって、強制執行手続きをする上での必要書類になります。
その後、業者側に強制執行手続きをされてしまうと、預金口座や給与、その他の保有財産を強制的に差し押さえられることになります。特に、給与を差し押さえられた場合がやっかいで、毎月給与の一部が差し引かれることになるのですが、この差し引きを行うのは職場側です。つまりは、自身の借金問題に職場をも巻き込むことになってしまうのです。
そして、差し押さえは借入元金だけでなく、これまでに降り積もった遅延損害金や利息などの合計額、すべてを回収するまで毎月続けられることになっています。
差し押さえをされる前に!債務整理の方法3つ
上記の内容を受けて、差し押さえを恐ろしいと感じた方がほとんどではないでしょうか?
消費者金融からの借金を放置していて、良いことなど何一つありません。差し押さえをされる前、そして一括請求などをされてしまう前に債務整理を検討してくださいね。
なお、債務整理には、以下の3つの手続きがあります。この中から、個々の状況に適した方法で借金問題を解決していきます。それでは各手続きについて、簡単にご紹介しましょう。
①任意整理
任意整理は、消費者金融と債権者と裁判外で交渉し、毎月の返済額などを取り決め、返済負担を軽減させる手続きです。すべての債務整理手続きの中で、もっともデメリットが少ないため、非常に利用ハードルの低い手続きとなっています。
任意整理を利用すると、遅延損害金や将来利息をカットし、借入元金のみを3~5年間で返済していくというのが一般的な流れです。現在と比較して、間違いなく毎月の返済額、そしてトータルの返済額を減らすことができることからも、メリットの多い手続きです。
また、裁判外であることから、手続きの柔軟性が非常に高く、特定の債権者を外して任意整理するといったことも可能です。つまりは、自動車ローンだけは外して、家族・友人からの借入は外して、といった具合に、自由に任意整理の対象を選ぶことができます。
②個人再生
個人再生は、裁判所経由で行われる債務整理手続きの1つで、借金の大幅な減額が可能となっています。減額率としては、70~80%程度の借金を減額することが可能で、毎月の返済負担を大幅に減らすことができます。返済期間としては、原則3年となっていますが、事情次第では5年に延長することも可能です。ただし、すべての借入先を対象にしなければならないため、自動車ローンがある場合は、自動車そのものの引き上げといった懸念もあります。
ただ、住宅ローンに関しては、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」という制度を利用することで、現状どおりの支払いを続けながら、住宅を引き上げられることなく、その他の借金についてのみ大幅に減額させることができます。返済自体は継続する手続きであるため、一定以上の収入が利用条件となりますが、住宅を守りながら借金を大幅に軽減できるという、大きなメリットがある手続きです。
③自己破産
自己破産は、裁判所経由で行われる債務整理手続きの1つで、借金全額の支払いが免除になるという、非常に大きなメリットがある手続きです。しかし、その反面デメリットも多く、保有資産がある場合は生活必需品などの一部を除き、多くを失ってしまうことになります。
また、支払い不能であることが裁判所に認められる必要がある他、免責不許可事由といって浪費やギャンブルなどを理由に借金している場合、支払い免除までのハードルが高くなるといった特徴があります。とはいえ、仮に免責不許可事由があったとしても、最終的には裁判官の職権による「裁量免責」が認められるケースが多く、借金問題をどう頑張っても解決できない方にとって、いわば救済となってくれる手続きが自己破産です。
まとめ
消費者金融からの借金の支払いが苦しい方は、どうか債務整理を検討してみてください。
債務整理を利用することで、まず間違いなく、現状の借金苦を打開することが可能となっています。借入状況や保有資産によって、適正となる債務整理手続きは異なるため、まずは専門家に相談して、アドバイスしてもらうのが良いでしょう。
そのまま借金を放置していると、最終的には職場をも巻き込んだ給料の差し押さえにまで発展する恐れがあります。となれば、当然、職場で肩身が狭くなってしまいますし、なにより遅延損害金などで膨れ上がった借金を全額回収するまで差し押さえが終わることはありません。このような借金は、いわば支払う必要のない借金といっても過言ではないのです。
任意整理や個人再生をすることで、返済負担は大幅に軽減できますし、どうしても返済が困難であれば自己破産を選択して、すべての借金の返済義務から免れることだってできます。
借金は非常にデリケートな悩みであるため、なかなか他人に相談するのは気が引けるかもしれませんが、専門家は必ずあなたの味方になってくれる存在です。勇気を出して一歩踏み出せば、借金に悩まされない日々をきっと手に入れることができます。まずは専門家への無料相談を受けることからスタートしてみることを強くオススメします。
司法書士試験合格後、平成16年に簡裁代理権を取得し、不動産や会社の登記業務を数多く手がけてきた。また年間1000人以上の過払い金や借金問題に対峙してきた。「法律用語はなるべく使わず、詳しく、わかりやすく、ゆっくりと、ご説明する」をモットーにじっくりを耳を傾け、ご相談にいらした方々が笑顔でお帰りになる事が私たちの仕事だと考えています。