債務整理にかかる期間は3か月から1年。手続きごとの期間の相場を解説

「1日でも早く借金を返済してしまいたい…」
「借金地獄から抜け出せるなら少しでも早い方がいい…」

債務整理を検討中の方は、こういった考えをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
なんとなく債務整理という言葉だけを聞くと、時間と手間がかかってしまうような、そんな感覚になってしまいます。また、日本の裁判は平均しても1年程度かかってしまうことが多く、債務整理も時間がかかってしまうのではないか?そんな不安もよぎってしまいます。

そこで今回は、債務整理手続きにかかる期間について詳しく解説していきます。

債務整理の手続きには3カ月~1年かかる

債務整理の手続きは、一般的に3カ月~1年程度はかかることになります。
といっても、債務整理には「任意整理」「個人再生」「自己破産」といったように、個々の事情に合わせて適正な手続きが変わってきます。また、各手続きにおいても、かかる期間に決まりといったものはなく、内容が複雑であればあるほど期間を要することになります。
とはいえ、一般的なケースであれば、およその期間を算出することは可能であるため、以下の章にて、それぞれの手続きにおけるかかる期間の相場について見ていきましょう。

「任意整理」の手続きにかかる期間は3カ月~半年

任意整理の手続きにかかる期間は、3カ月~半年程度となっています。
一般的な流れについてまとめつつ、それぞれどの程度の期間がかかるか見ていきましょう。

①専門家へ依頼する
②債権者に受任通知が届く
③債権者から取引履歴等が届く
④引き直し計算
⑤債権者との和解交渉
⑥返済スタート

①専門家へ依頼する

任意整理は、専門家への依頼からスタートします。手続きを依頼すると、専門家は債権者に対して「受任通知」を発送し、手続きに介入した旨と、取引履歴の開示を求めます。
この受任通知を受けた債権者は、原則として本人に直接連絡することができなくなり、今後は、すべての窓口が専門家となります。返済も一時的にストップするため、専門家に依頼した段階で、まずは返済に追われることのない平穏な日々を取り戻すことができます。

②債権者に受任通知が届く

専門家への依頼後、債権者に受任通知が届くまでは長くても1週間程度です。受任通知を受けた債権者は、専門家に対して取引履歴を開示しなければなりません。

③債権者から取引履歴等が届く

債権者から取引履歴等が開示されるまでには、1カ月程度かかります。取引履歴が長い場合や、債権者側の都合などによっては、遅いと2か月前後かかることもあります。

④引き直し計算・方針決定

取引履歴の開示を受けた専門家は、必要に応じて引き直し計算を行います。
引き直し計算とは、過去の高利だった頃の利率を現在の利率に直す計算のことです。この計算によって、「過払い金」が見つかる場合があります。過払い金が見つかった場合は、債権者に対して請求し、和解額の交渉へと入ることになります。

なお、各手続きにおいて、④までの流れはすべて共通となっています。すべての債権者から取引履歴の開示を受け、総債務額が確定した時点で、具体的な方針決定へと移ります。

⑤債権者との和解交渉

任意整理では、債権者との和解交渉によって、返済総額や毎月の返済額を決めていくことになっています。一般的には、将来利息をすべてカットし、借入元金のみを3~5年程度で返済するといった内容で合意となるケースがほとんどです。
債権者との和解交渉にかかる期間は、早ければ1カ月程度となっていますが、こちらの条件と折り合いがつかない場合は、どちらかが妥協するまで長引くこともあります。とはいえ、債権者側も早々に和解して支払い開始してほしいのが本音であるため、それほど長引くことはありません。長くても2~3カ月程度で和解になるケースがほとんどです。

⑥債権者との和解契約~返済スタート

債権者との和解交渉が済んだら、和解契約書を作成することになりますが、専門家に依頼している場合は、すべて代理で行ってもらうことができます。
その後、実際の返済がスタートすることになるため、任意整理にかかる期間は、早ければ3カ月程度、長いと半年程度は見ておくのが良いでしょう。

「個人再生」の手続きにかかる期間は6カ月~1年

個人再生の手続きにかかる期間は、6カ月~1年程度となっています。手続き初期は、任意整理とまったく同様であるため、以下では④以降について解説していきます。

④申立て準備

個人再生は裁判所への申立てが必要なため、申立てに必要な書類を用意しなければなりません。必要書類は多岐に及び、すべて取得するのは大変ですが、専門家がサポートしてくれるため心配はいりません。ただ、必要書類の中に2~3カ月家計表が含まれます。よって、申立て準備としては、最低でも2~3カ月を要することになっています。

⑤裁判所への申立て

裁判所への申立てが済むと、個人再生委員との面接や、債権者からの債権届の提出、裁判所への再生計画案の提出、履行テスト期間など、順を追って手続きが進んでいきます。

なお、個人再生は申立て時に「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」のいずれかを選択します。どちらが適正かについては、個々の状況によるため専門家の判断に任せるのが良いですが、比較的、小規模個人再生のほうがかかる期間が長くなります。理由は、小規模個人再生では、債権者に意見を求める期間が設定されているためです。一般的には滅多にあることではないですが、ここで反対意見が出てしまうと手続きにさらに時間を要します。一方で、給与所得者等再生の場合は、債権者から意見を求める機会がないため、小規模個人再生と比較すると手続きは早く進む傾向にあります。

すべての手続きが完了すると、裁判所からの認可決定が出ることになりますが、それまでにかかる期間は早くても4カ月程度を要することになっています。

⑥裁判所からの認可決定~返済スタート

個人再生の手続きがすべて終了すると、裁判所からの認可決定が出されます。
認可決定が出されたら、確定までに1カ月に期間を要し、確定月の翌月から実際の返済がスタートすることになっています。

「自己破産」の手続きにかかる期間は3カ月~1年

自己破産の手続きにかかる期間は、4カ月~1年程度となっています。手続き初期は、任意整理とまったく同様であるため、以下では④以降について解説していきます。

④申立て準備

自己破産は裁判所への申立てが必要なため、申立てに必要な書類を用意しなければなりません。必要書類は、個人再生と比較すると少なく済みますが、それでも多岐に及ぶことに変わりはないため、専門家のサポートのもと、必要書類を取得していきましょう。

また、自己破産の場合も、裁判所には直近の家計の状況を報告しなければなりません。報告期間は2~3カ月となっていますので、家計表を作成しながら、必要書類を準備しましょう。

⑤裁判所への申立て

裁判所への申立てが済むと、自己破産は「同時廃止事件」、「(少額)管財事件」のいずれかに分類されます。同時廃止事件の場合は、書類審査を終えた後に裁判官との面接(原則2回、必要に応じて1回もしくは0回)、問題がなければ、免責許可決定が出ることになっています。一般的な同時廃止事件でかかる期間としては2カ月~3カ月程度となっています。

一方で、(少額)管財事件の場合は、書類審査を終えた後、破産管財人が選任されます。破産管財人は、申立人の財産を調査したり、債権者に対して配当したりと、いくつかの業務をこなすことになります。その後、問題がなければ免責決定が出ることになっています。一般的な管財事件でかかる期間としては、4カ月~半年程度となっています。

⑥免責許可決定

自己破産の手続きがすべて終了すると、裁判所から免責許可決定が出されます。
その後、債権者に異議申述期間が1カ月用意されていますが、一般的な貸金業者などから異議が出ることはまずありません。よって、1カ月の経過を持って免責許可決定は確定し、すべての手続きが終了となります。

手続きが終わってからの返済期間は3~5年

返済義務がなくなる自己破産は、手続きが終了した時点で借金から解放されることになりますが、任意整理や個人再生は、手続き終了後、3~5年かけて返済することになります。
よって、完全に借金問題が解決するには、まだまだ時間を要すということです。

しかし、手続き後の返済はこれまでの返済とは異なり、資金繰りに困る心配はありません。なぜなら、資金繰りに困らないように調整するのが、任意整理や個人再生という手続きだからです。手続きさえ終えてしまえば、その後は借金の返済自体は続くものの、借金に悩まされない生活を手に入れることができます。

債務整理をすると5~10年間制約がある

債務整理をすると、5~10年程度はクレジットカードの保有ができなかったり、新たなローンが組めなくなったりといった制限を受けることになります。これは、個人信用情報機関に事故情報が掲載されてしまうためで、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。
事故情報が掲載される期間については、具体的な記載をしていない個人信用情報機関もあり、明確な情報ではないのですが、一般的に、任意整理・個人再生は完済から5年程度、自己破産は免責決定から5~10年程度とされています。

以上のことから、また以前のように借入をするためには、長いと10年ほどかかってしまうこともあります。長いようにも感じますが、それより先の人生のほうがもっと長いものとなります。借金問題は早期に解決し、その後の人生を充実させましょう。

7.まとめ
債務整理にかかる期間は債務整理の方法によって異なります。どの手続きが適正かについては、借金の金額や収入、個々の保有財産などによって変わってきます。まずは専門家に相談し、自身にどの債務整理手続きが適正かを判断してもらうのが良いでしょう。

債務整理はどうしても時間のかかってしまう手続きです。しかし、すべての手続きを終えた後、そして完済した後には、借金に悩むことも頼ることもない生活を手に入れることができます。もし、債務整理をしていなかったら、おそらく数年後も貸し借りを継続したまま、借金に悩まされる日々を送っている可能性が高いです。手続きを終えることで、確実に完済へ向かって歩み出すことができます。その第一歩として、まずは専門家に相談することからはじめてみるのが良いでしょう。

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