債務整理をすることで、借金問題を根本から解決することができます。
債務整理には全部で3つの手続きがあり、いずれの手続きであっても最終的には完済、もしくは免除されることで借金に悩まない生活を手に入れることができます。しかし、「そんな都合のいい手続きがあるのだろうか?」と、疑い深い方は感じて当然です。そのとおりで、債務整理にはいくつかのデメリットがあるのも事実です。このデメリットが不安という方も、よくわからないという方も多いと思います。
そこで今回はデメリットも含め、債務整理をすることでその後どのようなことが起こるのかについて、詳しく解説していきます。
債務整理のその後に起こること5つ
債務整理の手続きに着手した後、主に起こることは以下の5つとなっています。
①クレジットカードが使えなくなる
②ブラックリストに載る
③新たな借り入れができなくなり、ローンが組めなくなる
④官報に載る
⑤借金を減額した場合、返済が始まる
クレジットカードが使えなくなる
債務整理をしたクレジットカードは解約となりますので、手続きをすると利用ができなくなります。
一般的には事故情報が消えるまでの間は、新規のカードを作ることは難しいと考えたほうが良いでしょう。その後は再びカードを作ることができるようになりますが、債務整理をしたクレジット会社で再びカードが作れるかはカード会社によって異なります。
ちなみに、手続開始の時点でカードは使えなくなるのが通常ですので、家賃や携帯代など、カードで引き落としをするようにしているものは事前に変更をしておきましょう。
ブラックリストに載る
債務整理の手続きに着手すると、個人信用情報機関に事故情報が登録されます。これが俗にいう「ブラックリストに載る」という状態です。
信用情報機関には、個人の過去の借入等の履歴がデータベース化されています。貸金業者や銀行等の金融機関は、この情報を元に審査に臨んでいる方に信用があるかどうかをチェックしているのです。債務整理をすると、「事故情報」といってネガティブな情報が登録されてしまい、手続きに応じて抹消までに5~10年程度かかってしまいます。これが債務整理をする上での大きなデメリットの1つです。
新たな借り入れができなくなり、ローンが組めなくなる
信用情報機関に事故情報が登録されてしまうと、新たな借り入れができなくなり、ローン審査等に通るのが著しく難しくなります。とはいえ、いずれは抹消されるのが事故情報です。抹消さえされてしまえば、今までと同じように新たな借り入れをしたり、ローンを組んだりすることができるためご安心ください。
もし、債務整理をせずに借金をそのまま返済していたとしても、おそらく完済までは5~10年程度を要することが多いです。しかし、債務整理をすることで返済期間を大幅に短縮できる他、いずれ事故情報が抹消されることも踏まえると、債務整理は借金問題の根本的な解決であり、最も近道であると言えます。
(個人再生と自己破産の場合)官報に載る
債務整理の中でも、個人再生と自己破産という手続きによる解決を図った場合、その事実が官報に掲載されることになります。官報とは、国が発行している新聞のようなもので、法令公布や国の政策の周知、国民の権利義務に関する公告等が掲載されています。
しかし、官報は重要な役割を持っているものの、一般の方でチェックしているという方はあまりいません。よって、官報に掲載されたからといって周囲の人間に自己破産や個人再生がバレてしまったり、職場に悪影響を与えたりする可能性はかなり低いため、それほど心配することはありません。
借金を減額した場合、返済が始まる
債務整理の中でも任意整理や個人再生を行った場合、借金を減額した後、実際の返済がスタートします。いずれの手続きも一般的な返済期間は3年で、事情によっては5年程度の場合もあります。言い換えれば、債務整理の手続きを行った3~5年後には、借金をもう支払う必要のない生活を手に入れられるということです。
今まさに返済している借金が、3~5年後にすべてなくなっていることを想像できないという方は、豊かな将来を手に入れるためにも債務整理をすることを強くおすすめします。
債務整理のその後も影響のないこと5つ
債務整理をすることで影響を受けてしまうと勘違いされているのが、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
①家を借りることに影響はない
②新たに財産を持つことはできる
③職場を辞める必要はない
④戸籍などに記録が残ることはない
⑤携帯電話やスマホの契約はできる
家を借りることは可能
債務整理をしたからといって、家を借りられなくなることはありません。ただし、保証会社が信販系の場合、保証会社の与信に通らない可能性があります。契約前に、利用する保証会社は確認しておくと良いでしょう。
新たに財産を持つことはできる
債務整理をしたとしても、その後、新たに財産を持つことに影響はありません。たとえば、家や車を新たに購入することに制限はありません。ただし、事故情報が抹消されるまでの期間は、ローンが組めませんので、現金一括購入が基本となることに注意が必要です。
職場を辞める必要はない
債務整理をしたからといって、職場を辞める必要はありません。自己破産の場合は、一部制限職種がありますが、他の手続きに制限はありませんし、職場の人に知られる心配もほとんどないのでご安心ください。
戸籍などに記録が残ることはない
自己破産をすると戸籍に載るという噂を見聞きしたことがあるかもしれませんが、これはウソです。
また、市区町村が保有する破産者名簿に名前が載ると聞いたことがある方もいると思います。破産者名簿は実際に存在しますが、市区町村に破産したことが通知されるのは、免責不許可になった人だけで、ほとんどの人は名簿に記載されることはありません。(平成16年11月30日民三第113号最高裁民事局長通達)
携帯電話やスマホの契約はできる
債務整理は、携帯電話やスマホの新規契約などの妨げになることはありません。個人信用情報機関の事故情報が抹消されるまでの期間は、機種代をローンで購入することは難しいですが、一括購入することは可能です。携帯電話やスマホはこれまで通り使用できます。
信用情報による制限は完済から5~10年続く
前述したとおり、個人信用情報の事故情報が抹消されるまでの期間は5~10年程度です。この期間については、クレジットカードを作成できないといった制限を受けます。
また、債務整理の対象としたクレジットカード会社やローン会社は、その会社に規定によっては抹消後であっても取引をするのは難しくなる場合があります。
もし債務整理をした後に返済が苦しくなってしまったら
もし、債務整理をした後に返済が苦しくなってしまったらどうすべきでしょうか?
債務整理で無理のない返済ができたとしても、病気やケガで働けなくなったり、失業したり、収入が減ったりなくなったりするリスクは、生活をしている以上、常に抱えています。
そこで、債務整理後に返済が苦しい場合は、以下の対処法を取ることがおすすめです。
無断で滞納せずにまずは連絡を入れる
返済が苦しい場合は、事前に債権者(専門家に依頼している場合は事務所)に必ず連絡を入れましょう。もし、連絡を入れないでいると、最悪のケースでは債権者が裁判を起こしてくる恐れがあります。仮に専門家が介入していたとしても、裁判を起こすかどうかは債権者次第となっているため、必ず連絡を入れるようにしてください。
再び債務整理することも可能
債務整理に回数制限はありません。
どうしても返済が苦しい場合は、もう一度債務整理をすることもできます。ただし、一度債務整理をしている上でまた債務整理をするとなると、前回よりも条件は厳しくなる可能性が高いでしょう。
債務整理をしたその後の生活で心がけたいこと4つ
それでは最後に、債務整理をした後の生活で心がけたいことを4つご紹介します。
今後また借金で悩むことがないように、以下の点を意識して生活を送りましょう。
①お金を借りない
②家計を見直す
③支出は現金でまかなう
④不測の事態に備えて普段から貯金しておく
①お金を借りない
債務整理後は、前述したとおり数年間は新たな借り入れをすることができません。しかし、まったく借り入れができないかと言えば、そういうわけではないのです。またお金を借りてしまえば逆戻りとなってしまいますので、債務整理による返済がすべて完了するまでは、お金を借りないことを意識しましょう。
②家計を見直す
債務整理をした後は、一度家計を見直してみるのが良いでしょう。返済負担が軽減されれば、今まで返済に充てていた資金を自由に使うことができます。しかし、すべてを自由に使っていては、またお金が足りなくなってしまう恐れがあるため、しっかりと家計を見直しましょう。固定費を削減し節約を心がけることで、お金に困らない生活を手に入れられます。
③支出は現金でまかなう
債務整理後の支出は、現金でまかなうのが基本です。クレジットカードやキャッシュレス決済に頼っていた方にとってはなかなか難しいかもしれませんが、現金を管理する癖をつけることができれば、債務整理による返済が終わった後も、必ず役に立ってくれます。
所持金を超えて使いすぎてしまうことのないよう、現金やチャージ式などで予算を管理する癖を身に着けると良いでしょう。
④不測の事態に備えて普段から貯金しておく
債務整理後も病気やケガ・失業などで収入が途絶える可能性はあります。また、冠婚葬祭などによる臨時支出が続くこともあり得るため、普段から貯金しておく癖をつけましょう。
家計に余裕があっても無駄遣いせず、こうした不測の事態に備えて貯金しておけば、いざというときにお金を借りる必要もなくなります。
まとめ
債務整理をすることで、個人信用情報に傷がついてしまうことは避けられません。個人信用情報が回復するまでの間は、いくつかの制限を受けることになりますが、将来ずっと続くわけではないので、安心して債務整理を利用してください。そして、上述したような制限以外は、今までとほとんど変わらない生活を続けることができます。借金の返済負担が軽減されることを考えれば、今までより豊かな暮らしを送ることができますね。再び借金問題で悩むことのないよう、家計管理などをしっかりと行う必要はありますが、万が一のときは専門家に相談すれば大丈夫です。一人で抱えずに専門家からアドバイスをもらいましょう。
司法書士試験合格後、平成16年に簡裁代理権を取得し、不動産や会社の登記業務を数多く手がけてきた。また年間1000人以上の過払い金や借金問題に対峙してきた。「法律用語はなるべく使わず、詳しく、わかりやすく、ゆっくりと、ご説明する」をモットーにじっくりを耳を傾け、ご相談にいらした方々が笑顔でお帰りになる事が私たちの仕事だと考えています。