世界中で猛威をふるった新型コロナウイルスや、世界情勢の不安定さを起因とした物価高、度重なる増税などを受け、借金をしてしまった方も多いのではないでしょうか?
しかし、借金というのは、借りるのは簡単であるにも関わらず、返していくのは簡単ではありません。
生活費等の不足を理由に借金をしてしまうと、次月以降返済でさらに生活苦に陥ってしまいます。一時的な収入不足を補うならまだしも、その場しのぎの借金をしていると、返済のために借金を繰り返してしまいます。こうした負のスパイラルからは容易に抜け出すことができず、日に日に借金が積もっている方もめずらしくはありません。
そこで今回は、借金を返済するため、明日からすぐに試せる7STEPについてご紹介します。以下を読んでいただければ、借金の返済の仕方、返済中にやってはいけないこと、どうしても返済が苦しい場合の対処法、について知ることができます。
借金の返済が厳しくなってきたらやるべき7STEP
借金の返済が厳しい時は、以下の7STEPを試してみることからはじめましょう。
STEP①:借金の全体像を把握する
STEP②:毎月の収支を把握する
STEP③:支出を見直す
STEP④:収入を増やす
STEP⑤:借金を見直す
STEP⑥:繰り上げ返済をする
STEP⑦:おまとめローンを検討する
STEP①:借金の全体像を把握する
借金の返済が厳しいときは、借金の全体像を把握することが大切です。
どこからいくら借りているのか、借金の総額はいくらあるのか、毎月元金は減っていっているのか、毎月どのくらい返済に充てなければいけないか、現状の返済ペースで完済の見通しはつくのか等を把握しておきましょう。
これらを把握することで、現在、ご自身が借金にどの程度依存しているのかといった点も明らかになってきます。たとえば、毎月元金が減っていないのであれば、借金をしないと生活が成り立っていない状況となります。
現状の返済ペースで完済の見通しがつかないのであれば、早急に改善しなければいずれは返済しきれずに滞納するときがきてしまいます。これ以上借金が膨れ上がってしまわないためにも、借金の全体像を把握することが大切です。
STEP②:毎月の収支を把握する
借金の返済が厳しいときは、毎月の収支を把握することも重要です。
自身の毎月の収入がいくらで、毎月何にいくら使っているのかを細かく書き出してみましょう。そうすることで、おのずと毎月の収支状況が赤字か黒字かがわかります。当然ながら赤字であれば借金はどんどん膨らんでいくことになりますし、黒字であれば借金は少しずつでも減らしていくことが可能と言えるでしょう。
いずれにせよ、借金を返済する上で1か月あたりの収支状況は非常に重要です。まだ把握していないという方は、必ず行うようにしてください。
STEP③:支出を見直す
毎月の収支状況が赤字になっている方は、支出を見直すことで改善する可能性があります。
毎月の支出を見直す際は、固定費から見直していくのが王道です。まずは、家賃や通信費といった固定費を削減できないか検討してみましょう。その他にも、定期購入していて解約できるものは解約し、食費や光熱費などを節約して支出を抑えてみましょう。支出をうまく見直すことができれば、浮いた分を返済に充てられるようになります。
STEP④:収入を増やす
借金を返済する上で、もっとも良い対策と言えるのが収入そのものを増やすことです。
上位の役職を目指してスキルアップするのが最も手堅い方法と言えますが、すぐに収入が増える方法ではありません。また、役職に空きがなければそもそも上に上がっていけませんので、自身の力だけでどうにかできるものでもありません。
そこで、副業を始めてみたり、不用品を売ったりなどして、毎月の収入を増やすことを検討してみましょう。収入そのものを増やすことができれば、その分返済に充てることができるため、借金の悪循環から脱却できる可能性がぐっと高くなります。
STEP⑤:借金を見直す
借金の返済が厳しいときは、一度借金を見直してみるのも非常に効果的です。
たとえば、借入先が複数ある場合は、金利の高いところから優先的に返済を進めることで、最終的な支払額を抑えることができます。または、金利の低いところへの借り換えを検討する方法もあります。
一般的な消費者金融の場合、金利は15~20%程度ですが、銀行からの借入であれば、金利を一桁台に抑えられることもあります。
まずは現在の契約状況を確認し、借金を見直してみましょう。
STEP⑥:繰り上げ返済をする
借金というのは、借り入れの期間が長ければ長いほど、金利や手数料を多く取られることになります。これを回避するためには、繰り上げ返済が有効です。繰り上げ返済とは、余裕がある月に普段より多く返済することで、借り入れ元金そのものを減らしていける返済です。
これまでのSTEPで浮いた分を繰り上げ返済に充てることで、返済期間を短縮、トータルで支払う金額を少なく抑えることに繋がってきます。
STEP⑦:おまとめローンを検討する
借入先が複数ある場合や金利が高い場合は、おまとめローンを検討しましょう。
おまとめローンとは、消費者金融や銀行などが提供している金融商品の1つで、複数の借入先の借金を1か所にまとめることができます。1か所にまとめることで、毎月の返済にかかる手間だけでなく、手数料を抑えることに繋がります。
また、金利の低いおまとめローンであれば、借り換えをすることで毎月の返済額を抑えるだけでなく、トータルの返済額も抑えられる場合があります。
ただし、おまとめローンは、借金問題の根本的な解決に繋がるわけではないため、返済苦を理由におまとめローンを検討するのであれば、同時に後述する「債務整理」についても視野に入れることを強くおすすめします。
借金の返済が厳しいときにやってはいけないこと4つ
借金の返済が厳しいときは、以下の4つについては絶対にやってはいけません。
①借金を返すために借金をする
②リボ払いを使う
③月々の返済額を減らす
④支払日や督促を無視する
やってはいけないこと①:借金を返すための借金をする
借金を返すための借金をしていると、いつまで経っても借金が減らないだけでなく、どんどん膨れ上がっていくことになります。
借金を返すために借金をしなければならない事態になっている場合、すでに経済的に破綻している恐れがあります。前述した7STEPの実践に早急に取り組まなければなりません。取り組んだ結果、それでも借金しなければならないのであれば、後述する債務整理手続きを視野にいれましょう。
やってはいけないこと②:リボ払いを使う
借金返済が苦しい状態をなんとかするためにリボ払いを使うのは避けましょう。
リボ払いとは、消費者金融やクレジットカード会社が提供する返済方法の1つで、毎月の利用額に関係なく、あらかじめ設定した金額のみを毎月支払っていく返済方式です。うまく利用すれば、返済負担を一時的に軽減できるのですが、常用する癖がついてしまうといつまで経っても借金が減らなくなります。さらには利用の自制ができない限り、延々と借金が膨れていくことになりかねません。
リボ払いは、毎月の返済を低額に抑えられるため、一見すると有用に感じますが、返済額を抑えるということは、返済期間が長くなるということですので、最終的な返済額が増えてしまうことに繋がります。リボ払いを利用し、毎月の支払いをあまり低額にしすぎると、返済しても元金がほとんど減らず、利息のみに充てられてしまう危険があるため、リボ払いを使うのだけは避けるようにしてください。
やってはいけないこと③:月々の返済額を自分の判断で減らす
リボ払いを使うことと共通しますが、月々の返済額を自分の判断で減らすというのも、やってはいけないことの1つです。
月々の返済額を減らすということは、それだけ返済期間が伸びてしまうことに繋がります。何度もご説明していますが、借金というのは返済期間が長ければ長いほど、最終的に支払う金額が膨れ上がる性質があります。月々の返済額を減らすことは、単なる一時しのぎにしかすぎず、元金が全く減らず、利息ばかりを払い続けることになってしまいます。将来の自分自身の首を絞める行為なので、やらないようにしてください。
やってはいけないこと④:支払日や督促を無視する
返済が厳しいからといって、支払い日や督促を無視することはしてはなりません。
支払日や督促を無視していると、カード会社などから強制解約を予告する通知が届きます。この段階で支払いをすればまだ問題ありませんが、その通知まで無視していると、2~3か月程度でクレジットカードは強制的に解約されることになります。強制解約されてしまうと、信用情報機関に事故情報として登録され、著しく社会的な信用を落とすことになります。
その後、借金は債権回収会社などから一括返済を求められる、裁判を起こされ、最終的には強制執行によって銀行口座や給与が差し押さえられる危険まであります。こうした事態に陥ってしまわないためにも、支払い日や督促を無視することはやめましょう。
それでも返済が厳しい場合は「債務整理」を検討しよう
ここまでご紹介した方法を実践しても状況が改善しない場合は、債務整理を検討してください。
債務整理であれば、借金問題を根本から解決することが可能です。数年後、借金に悩まされない日々を手に入れるためにも、まずは債務整理がどういったものかを理解することが大切です。債務整理には大きく3つ方法があるため、それぞれ詳しく解説します。
借金の利息分などを減額できる「任意整理」
借金の利息分や手数料を減額できるのが「任意整理」です。
これまで、借金というのは返済期間が長ければ長いほど、返済額が増えてしまうとご説明してきました。これは、期間の経過によって利息がどんどん増えてしまうからです。しかし、任意整理を利用することで、将来的に発生する利息をカットしてもらうことができます。つまりは、借入元金のみを返済することで、完済扱いにしてもらうということです。
任意整理を利用したい場合、一般的には3~5年程度で完済できる程度の収入が必要とされています。もし、利用条件に当てはまるという方は、任意整理によって返済負担を大きく軽減させることができるでしょう。
借金を大幅に減額できる「個人再生」
裁判所から認可を得ることで借金を大幅に減額できるのが「個人再生」です。
貸金業者と直接交渉して進める任意整理とは異なり、個人再生は裁判所を利用して手続きが進められていきます。
個人再生を利用するには、一定以上の安定した収入を見込める必要がありますが、借金そのものを7~8割程度減額することができます。借金が大幅に減額されるため、返済苦に悩まされる心配はありません。減額された借金を3年、および5年間返済を続けることで、完済扱いにしてもらうことができます。
借金の返済自体を免除してもらう「自己破産」
裁判所から許可を得ることで借金の返済自体を免除してもらうのが「自己破産」です。
自己破産も個人再生と同様、裁判所で行う手続きとなり、最終的な判断は裁判官が下すことになっています。借金が全額免除されるという大きなメリットがある反面、自身の保有財産の一部を処分されてしまうといったデメリットを伴う手続きとなっています。
しかし、どうしても返済できない状況にある方が、最後に利用できる手続きです。たとえば、無職で生活保護を受けることになってしまった方、収入が不安定で継続した返済が不可能な方は、自己破産を利用することで、借金問題を根本から解決することができます。
まとめ
借金の返済が厳しい状況にある場合、放置すれば状況は悪化する一方です。このままでは、返済そのものが難しくなってしまい、銀行口座や給与の差し押さえといった最悪なケースへと発展してしまう恐れがあるため、今回ご紹介した7STEPをうまく活用して対策しましょう。間違っても、借金を返すために借金をすることがないよう気を付けてくださいね。
しかし、どれだけ対策しても返済が難しくなってしまうことはあります。これ以上、対策のしようがないと少しでも感じた方は、早々に債務整理を視野に入れましょう。債務整理は、どの手続きが適しているかは個人の状況によっても異なります。とはいえ、どういった状況の方でも債務整理であれば、借金問題は必ず解決することができます。まずは、司法書士や弁護士といった専門家に相談し、自身にどの債務整理手続きが適しているかを知ることからはじめましょう。
司法書士試験合格後、平成16年に簡裁代理権を取得し、不動産や会社の登記業務を数多く手がけてきた。また年間1000人以上の過払い金や借金問題に対峙してきた。「法律用語はなるべく使わず、詳しく、わかりやすく、ゆっくりと、ご説明する」をモットーにじっくりを耳を傾け、ご相談にいらした方々が笑顔でお帰りになる事が私たちの仕事だと考えています。