「借金の踏み倒しができたらどれだけ楽だろうか…」
あまりの返済苦に、このようなことが頭をよぎった経験がある方、いらっしゃるのではないでしょうか?
ただでさえ物価高や増税で生活が苦しいこのご時世、借金があるというだけで生活費は一気に圧迫されることになります。
その上、賃上げも難しい現状となれば、借金が今以上に嵩むことがあってもおかしなことではありません。
そうなってくると、返済も徐々に厳しくなってくるでしょう。
しかし、借金の踏み倒しは現実的とは言えません。借金を踏み倒そうとすることで、起こるリスクも当然ながらあります。
そこで今回は、借金の踏み倒しが現実的ではない理由と、返済が難しくなってきたらどうやって借金問題を解決させるべきなのか、について詳しくご説明していきます。
借金の踏み倒しをしてはいけない理由4つ
まずは、借金の踏み倒しが現実的ではない理由を知りましょう。
以下にて、主な理由を4つほどご紹介します。
時効が成立することはほぼないため
借金の踏み倒しをしても、時効が成立することはほとんどありません。
貸金業者や銀行からの借金というのは、最後の取引(返済か借入)の翌日から5年の経過で時効を迎えます。
しかし、貸金業者や銀行が時効成立をそのまま見過ごすことはありません。
債権者は時効の完成猶予や更新といった方法を用いて、時効にならないように手続きを行います。裁判を起こされ、債権者からの請求が判決などの形で裁判所に認められたとなれば、そこから時効はリセットされ、新たに10年という期間が設定されることになります。この10年についても、期限間近となれば再度同様の手続きを踏むことで、リセットすることが可能となっているため、結局いつまで経っても時効が成立することはありません。
名前や住所を変えても意味がないため
借金の踏み倒しをするために、名前や住所を変える方がいらっしゃいますが、こちらも意味があるとは言えません。
たとえば、結婚や離婚などで名字が変わりますが、債権者がそれで請求しなくなることなどありませんよね。同様の理由から、養子縁組や名前の変更といった家庭裁判所での手続きを用いたとしても、戸籍謄本を辿れば同一人物であることが簡単にバレてしまいます。
また、住所を変えたとしても、住民票を移せばすぐに辿られてしまうため、まるで意味がありません。
仮に住民票を移さなかったとしても、「公示送達」という方法で、結局のところ時効はリセットされることになります。
公示送達とは、裁判所の掲示板に判決を一定期間掲載することで、送達と同様の効力を生む制度です。要は、裁判所からの判決が手元に届いていなくても、届いたことにされてしまいます。公示送達によって判決が確定すれば時効はリセットされ、借金を踏み倒すことなどできません。
請求を無視し続けていると最終的に財産等を差し押さえられるため
借金の請求を無視し続けていても、最終的には財産等を差し押さえられる恐れがあります。
貸金業者や銀行は、長期間返済が滞っていると債権回収業者に委託したり、債権譲渡をしたりします。債権回収業者は、いわば債権回収のプロであるため、法的手段にも精通しています。当然、裁判も起こしてきますし、強制執行といって、相手の財産を強制的に差し押さえる手続きも行ってきます。銀行口座はもちろん、給与までも差し押さえの対象となっているため、踏み倒しは難しいと言えるでしょう。
最悪の場合、詐欺罪に問われる可能性も
借金の滞納することそのものが罪に問われることはありません。しかし、はじめから返済するつもりがないにも関わらず借金をする行為は、詐欺罪に問われる可能性があります。
たとえば、「どうせ借金の返済なんてできないから、いっそのこと新規で限度いっぱいまで借り入れてやろう」といった軽率な動機で借金をした場合、詐欺罪が成立する恐れがあります。債権者が被害届を出せば、逮捕される危険もあるため絶対にしてはなりません。
借金の踏み倒しで起こり得るリスク4つ
先にご紹介したように、借金の踏み倒しは難しいばかりか、踏み倒しを行うということは、結果的にさらに厳しい状況に追い込まれるリスクがあります。
以下では、借金の踏み倒しによって起こり得るリスクを4つご紹介します。
信用情報に傷がつく
借金を踏み倒そうとすれば、信用情報に傷がつくことになります。
信用情報というのはいわゆるブラックリストのことで、信用情報機関に滞納という事故情報が記録されてしまうと、その後数年間はローンを組めなくなったり、クレジットカードを作れなくなったり、新たな借金をできなくなってしまう可能性があります。
借金総額がさらに増える
借金の返済をしないでいれば、1日ごとに利息と遅延損害金が加算されることになります。
1日分の利息は小さな金額ですが、それが積み重なっていくと、返済しようと思っても借り入れ元金より利息や遅延損害金が増えている、なんて事態になりかねません。今以上に返済が苦しくなるだけなので、借金を踏み倒す上で非常に大きなリスクと言えるでしょう。
保証人に迷惑がかかる
借金に保証人がいる場合、借金の返済が滞ると保証人に一括請求が行くことになります。
保証人に多大な迷惑をかけるという点は、借金を踏み倒す上で大きなリスクです。
周囲からの信頼を失う可能性も
借金を踏み倒す相手が業者であれば、後述したとおり裁判や強制執行といった法的手続きを用いて給与の差し押さえをされる可能性があります。
給与の差し押さえは、あなたの職場に裁判所から通知が行き、実際に債権者に支払いをするのはあなたの職場からとなります。手間をかけさせてしまう上に、給与の差し押さえが職場に知られれば、何かしらトラブルを抱えているのだと悟られ、信頼を失う可能性があります。職場に居づらくなる恐れもありますよね。
個人間の借金を踏み倒す場合、相手はそれ以上追及しないでくれるかもしれません。しかし、当然ながらお金を貸してくれた方とは疎遠になってしまいます。それがきっかけでよくない噂を立てられる恐れもあり、あなたは周囲からの信頼を失う可能性があります。
踏み倒しをせずに借金問題を解決する方法は「債務整理」
以上からもわかるように、借金の踏み倒しは簡単ではない上に、多くのリスクがあります。ご自身の首を今以上に絞めることにもなりかねず、とてもおすすめはできません。
踏み倒しをせずに借金問題を解決するのであれば、「債務整理」を強くおすすめします。
債務整理とは、多額の借金を抱えた方の生活を立て直すための救済制度です。借金に悩まされている方であれば、基本的にどんな方であっても債務整理を利用することで借金問題を根本から解決することができます。
債務整理には、個々の状況に応じた「任意整理」「個人再生」「自己破産」という方法があり、それぞれ異なる効果があります。
以下では、3つの債務整理手続きについて解説します。
債権者との話し合いで借金を減額できる「任意整理」
任意整理は、債権者との話し合いによって借金の減額を目指します。
具体的には、将来的に発生する利息をすべてカットしてもらい、3~5年以内で借入元金を完済するのが目的です。利息をすべてカットするということは、債権者の立場からすれば利益をすべて失うことになります。しかし、任意整理以外の方法で借金問題を解決されてしまうと、借入元金の回収すら困難となってしまうため、債権者側も交渉に応じざるを得ない背景があります。
返済する側からすれば、利息がすべてカットされ、借入元金のみの返済であれば負担も大幅に軽減され、完済が見込めるというわけです。
裁判所を介して借金減額する「個人再生」
個人再生は、裁判所から認可をもらって返済額を大幅に軽減する手続きです。任意整理での解決は難しいものの、自己破産を回避しながら、借金を返済するための法的手続きの一つです。
個人再生の主な特徴は、借金が7~8割程度減額される点と、保有財産を処分しなくても済むという点です。特に、持ち家を手放したくないといった事情がある方が行うことが多い手続きです。
借金の支払い義務を免除してもらう「自己破産」
自己破産は、裁判所から支払い不能の状態であることを認めてもらい、免責の許可をもらうことで、借金そのものの支払い義務を免除してもらう手続きです。
任意整理や個人再生は、いずれも一定以上の収入があり、減額後の借金の返済が見込める状態でなければ利用することができません。いずれの手続きにおいても返済が見込めない場合、最後の手段となるのが自己破産です。
自己破産では、原則的に時価で20万円以上の財産は処分され、債権者への配当に充てられることになっています。また、自己破産の手続き中は、一部の資格や職業が制限を受けることになります。借金の返済義務がすべてなくなる反面、他の手続きと比較するとデメリットが大きいものとなっています。
債務整理をすると起こる良いこと3つ
3つの債務整理手続きがどのようなものかイメージがついたところで、ここからはどの手続きであっても債務整理であれば共通で起こる良いことを3つご紹介します。
手続きを開始すると返済や取り立てがストップする
債務整理を専門家に依頼し、手続きが開始されると債権者への返済や、債権者からの取り立てがストップします。
任意整理や個人再生の場合は、手続き後に返済が開始されることになりますが、それまでの期間は一切返済する必要がないため生活費に回せますし、返済資金をあらかじめ貯めておくことができます。
また、専門家が債務整理を受任すると、貸金業者などは本人への直接連絡が制限されます。今後はすべての窓口が専門家になってくれるため、自身がやり取りする必要はありません。
返済苦からの解放が確実に見えてくる
債務整理によって借金が減額(免除)されることで、返済苦から解放されることになります。
債務整理というのは、ゆとりある生活を取り戻せてはじめて意味があると言えるため、任意整理や個人再生のように返済が継続する手続きであっても、無理な返済金額が設定されることはありません。あくまでも生活を優先した上で返済を継続できるようになるため、これまで悩まされていた借金苦から解放されます。
生活を建て直し、人生を再スタートできる
債務整理をすることで、これまで借金に振り回されていた生活を立て直すことができます。
その後、無事に借金を完済できれば、借金に生活費を圧迫される心配はありませんし、返済に回していた金額を貯金に回せるようになります。借金に悩まされてきた方にとって、貯金できるほど生活費に余裕ができることは、いわば人生の再スタートと言えるでしょう。
まとめ
以上のとおり、借金の踏み倒しというのは現実的ではありません。実現困難な上に、様々なリスクがあることからも、決しておすすめなどできるものではありません。
借金問題の解決にもっとも適しているのは債務整理です。債務整理は、経済困窮に陥ってしまった方の生活を立て直すために国が認めた救済制度であって、借金問題を根本から解決することができます。また、債務整理にはおおまかに3つの方法があり、どの手続きが適しているかについては、素人目に判断するのが難しいものとなっています。
そこで、まずは司法書士や弁護士といった専門家に相談し、自身にもっとも適した債務整理手続きを知ることからはじめてみるのがおすすめです。
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司法書士試験合格後、平成16年に簡裁代理権を取得し、不動産や会社の登記業務を数多く手がけてきた。また年間1000人以上の過払い金や借金問題に対峙してきた。「法律用語はなるべく使わず、詳しく、わかりやすく、ゆっくりと、ご説明する」をモットーにじっくりを耳を傾け、ご相談にいらした方々が笑顔でお帰りになる事が私たちの仕事だと考えています。