「債権回収会社(サービサー)っていうところから手紙が来たんだけど、もしかしてヤバいやつ・・・?」
この記事を読んでいる方はサービサーから債権譲渡通知が届いて不安に思っているのではないでしょうか。
数ヶ月間もの間、借金の返済が滞っていると、「債権回収会社に債権を譲渡しました」といった通知が借入先から届きます。
債権回収会社というのは、不良債権の管理・回収を専門とする業者で、融資は行っていません。平たく言うと「滞納している借金の取り立て専門の会社」ということになります。
そう聞くと、家や会社にまで来て督促をしてくるような怖い業者なのではないかと心配になる人もいるかもしれません。
そこでこの記事では、実際に債権回収会社は家に来るのか、どのような取り立てを行うのか、そしてどのように対処すべきかについて解説していきます。
債権回収会社が家に来ることはある!
結論からお伝えすると、債権回収会社が実際に家に来ることはあります。
しかし、いきなり家や会社に来て取り立てをするような会社は基本的にほぼいませんので安心してください。
また、家に来たとしても、ドラマなどで見るような過激な取り立てをするような業者は今時いませんので、こちらも安心してください。
では、どのようなときに家に来るのかというと、具体的には、以下のような場合に実際に家へ足を運ばれることになります。
ケース1:事前に訪問予告通知が届いている
債権回収会社によっては、債権が譲渡された旨に加え、事前に家へ足を運ぶ予告通知を送ってくることがあります。
表題としては、「訪問予告通知」や「ご訪問のお知らせ」といった記載がされています。具体的な日時が記されていて、その時間通りに家を訪ねてきます。
ケース2:電話をしても繋がらない
電話をしても繋がらない場合、実際に家を尋ねてくる場合があります。
一般的な消費者金融も同様のことが言えますが、債権回収会社も電話しても繋がらない状態が続いていては埒があきません。連絡がついているうちは、即座に法的手続きに着手される心配はありません。
しかし、いつまでも話し合いに進展がない場合や、電話による連絡が取れなくなると、実際に家まで足を運んで、現在の状況を確認しにくることがあるのです。
ケース3:督促を無視し続けている
上記と近いケースですが、督促を無視し続けていると実際に家を尋ねられる場合があります。債権回収会社が行う督促は、電話だけでなく郵便による方法も含まれます。
多くの場合では、「状況を確認したいので電話が欲しい」といった内容がほとんどですが、中には空欄を埋める形式で現在の状況を回答するよう促されることもあります。
こうした督促を無視し続けていると、実際に家に足を運び、状況を確認されることになります。
例外ケース:突然、自宅訪問をしてくる会社もある
一部の会社は突然自宅を訪問してくることがあるようです。
突然のことに驚かれるかもしれませんが、なにかしら強硬な取り立てをされる心配は一切ありませんのでご安心ください。
後述する「やってはいけない2つのこと」をぜひ参考にしていただき、無視をしたり、支払いを承認したりすることがないよう、対応してください。
2.債権回収会社が家を訪問するには一定のルールがある
債権回収会社は、サービサー法と呼ばれる債権回収会社に適用される法律と、平成11年4月7日に法務省大臣官房司法法制部審査監督課が作成した「債権回収会社の審査・監督に関する事務ガイドライン」(=事務ガイドライン)によってルールが定められています。
その中には、取り立てに関するルールもあり、代表的なものに次のものがあります。
①訪問時間は8時~21時
②訪問先は原則として自宅のみ
③本人以外には返済を要求してはいけない
④近隣の人に借り入れをしていることをばらしたり、連絡するように伝言をしたりしてはいけない
訪問時間は8時~21時
債権回収会社が借金の取り立てをできるのは、8時~21時の間と決められています。
これは、消費者金融も同様で、この時間外に正当な理由なく電話をかけたり、ファクシミリを送ったり、自宅へ訪問したりすることは禁止されています。
ただし、債権回収会社が借金の取り立てをできるのは、平日・土日祝日を問いません。
訪問先は原則として自宅のみ
債権回収業者は自宅以外には原則として訪問することはできません。
職場や家族、友人の家などに押しかけられることはないのでご安心ください。
ただし、ずっと連絡を無視し続けていたり、家に帰らず別の場所に居住している場合など、特別な事情がある場合は、自宅以外の場所にも訪問をされる場合があります。
また、債権回収会社が取り立てをする際、家への訪問回数にルールや制限などは存在しません。
借金問題を解決しない限り、何度でも家を尋ねられることになります。
ただ、訪問された際に退去してほしいと意思表示をしたにも関わらず、その場所から退去しないといった行為や、連絡する日や支払日を伝えているにも関わらずそれを無視して連絡してくるような行為、押して債務者に付きまとう行為は禁止されていますので、現実的にはないと思って良いでしょう。
本人以外には返済を要求してはいけない
借金というのは、本人以外に支払い義務があるものではありません。よって、いくら債権回収会社であっても家族や友人などに返済を要求することはできません。
ただし、連帯保証人に対しては請求が行くことになります。
連帯保証人に迷惑をかけたくないという方は、ご自身で借金問題を解決するしかありません。
近隣の人に借り入れをしていることをばらしたり、連絡するように伝言をしたりしてはいけない
債務者が借り入れをしていることや、プライバシーにかかわることをあからさまにすることは禁止されています。
また、近隣の住民に対して、訪問の目的を話すことや、債務者に連絡をしてもらえるよう伝言を依頼することも禁止されています。
余談ですが、サービサーは電話連絡をしてくるとき、原則として相手が本人でない限り社名を名乗りません。
また、家族が電話に出た場合や、家族から折り返しの連絡があったとしても、本人の了承を得ていなければ、取引の内容を明かすことはありません。
債務者のプライバシーは厳守されているので、いくら借金をしているのか、どれくらい滞納が続いているのかといった情報が、家族や知り合いにばらされる心配はありません。
債権回収会社がもし家に来てもやってはいけない2つのこと
債権回収会社がもし家に来ても、以下の2つだけは絶対にやってはいけません。
①無視をする
②とりあえず払いますと返事をする
無視をする
債権回収会社が家を尋ねてきた際、無視したとしても根本的な解決にはなりません。無視をしていれば、訪問人もさすがに帰るため、その場はいったん免れたように感じます。
しかし、債権回収会社としては電話や郵便を無視されて自宅訪問も無視されてとなれば、後はもう法的手段に着手するしかありません。
無視をする行為は、単に法的手段への着手を早めるだけにすぎないため、きちんと対応するように心がけてください。
たとえば、「専門家への相談を検討している」、「専門家に依頼したらすぐに連絡する」という旨を伝えたら、それ以上追及されることはありません。その後すぐに専門家へ相談をするようにしてください。
とりあえず払いますと返事をする
債権回収会社の人が支度にやってきたら、その場をやり過ごすために「払います」と言いたくなるかもしれませんが、それはしないでください。
これは、自宅訪問された際だけでなく、電話や郵便による連絡の場合も同様です。
もし、返済を要求されている債務が実は時効になっていた場合、返済の意思を示してしまうと、時効ではなくなってしまいます。
貸金業者からの借金というのは、最後の取引日から5年で時効となり、相手が裁判等の法的手続きを行ってこなければ、時効援用をすることによって返済義務が消滅します。
しかし、もし債務承認をしてしまうと、その日からさらに5年が新たな時効期間として設定されてしまうのです。時効間近、もしくはすでに時効を迎えている可能性がある場合、その場で返事をせず一度内容を確認するようにしましょう。
債権回収会社が家に来てもなお無視し続けるとどうなるか
では、債権回収会社が家に来てもなお無視し続けるとどうなってしまうのでしょう?
この場合、債権回収会社は以下のいずれかの方法で、強制執行をする際に必要なる手続きである「債務名義」の取得を行います。債務名義とは、強制執行はいわゆる「差し押さえ」です。
債務名義を取得されてしまうと、あなたの給与や預貯金、不動産などの個人資産を差し押さえられてしまう危険があります。
どの方法であっても最終的には強制執行に行きつきますので、絶対に無視し続けてはいけません。
支払督促が来る
債権回収会社を無視し続けていると、「支払督促」を申立ててくることがあります。
支払督促とは、簡易裁判所の書記官が相手に支払いを命じる手続きのことで、後述する裁判よりも簡易な手続きとなっています。
債権額が少額な場合などに用いられる手続きです。
支払督促も無視し続けていると、「仮執行宣言付支払督促」の申し立てが行われて債務者へ送付されます。
この「仮執行宣言付支払督促」が前述した債務名義にあたり、これを無視すると強制執行に踏み切られてしまいます。
裁判を起こされる
債権回収会社を無視し続けていると、「訴訟」、いわゆる裁判を起こされることがあります。
もし、裁判も無視していると、相手の主張に対する反論なしということで、全面的に相手の主張を認める判決が出されてしまいます。
この判決は、裁判の結果が自身の元に送達された翌日から2週間で確定し、債権回収会社に「確定判決」を得られてしまいます。こちらが前述した債務名義です。
そして、支払督促の場合と同様、債務名義を取得されてしまうと強制執行ができる状態になってしまいます。
債権回収会社が家に来ることを避ける方法は、すぐに専門家へ依頼をすること
債権回収会社が家に来ることを避けたいなら、すぐに専門家へ依頼をするようにしてください。
専門家が介入した時点で、その専門家があなたの代わりに交渉をする窓口となってくれますので、あなたが直接債権回収会社と話をする必要がなくなります。
また、もし直接連絡がきた場合でも「専門家に手続きをお願いしています」と伝えれば、以降、債権回収会社は専門家と話をしてくれます。
まとめ
以上のとおり、債権回収会社からの連絡というのは、無視し続けていても解決することはありません。
それどころか、支払督促や訴訟といった法的手続きに着手され、最終的には強制執行によって、あなたの個人財産を差し押さえられてしまう危険があるのです。
こうした状況を回避するには、借金問題を根本から解決させる必要があります。
そのためにも、債権回収会社への対応は、通知が来た時点でまず専門家に相談しましょう。
司法書士や弁護士といった専門家なら、債権回収会社への対応を任せることができます。支払督促や訴訟が提起されたタイミングでも問題ありません。
債務名義を取得されてしまってからでは、強制執行を止めるのは難しいですので、なるべく早い段階で専門家に相談するようにしてください。
司法書士試験合格後、平成16年に簡裁代理権を取得し、不動産や会社の登記業務を数多く手がけてきた。また年間1000人以上の過払い金や借金問題に対峙してきた。「法律用語はなるべく使わず、詳しく、わかりやすく、ゆっくりと、ご説明する」をモットーにじっくりを耳を傾け、ご相談にいらした方々が笑顔でお帰りになる事が私たちの仕事だと考えています。